2次創作 京都地検の女 「裏の顔」1

 もー、全く自信nothingですけど、勢いでアップしますね(笑)
 論理が破綻してても、そこは一つ目をつぶってくだされば幸いです。

 因みに僕蔵さんは、被疑者・竹内徹役でございます。
 「京都地検の女」全く見たことないと言う方にとってはさっぱりわや、でしょうね。

 
 
 京都・錦市場ジュースコーナーにて。お馴染みのおばちゃん4人組が井戸端会議をしている。

 漆原さやか「じゃーん!これ、劇団来夢来人(ライムライト)のチケット!」

 櫻井麗子「来夢来人って溝端琢磨の?」

 漆原「そう。日本一チケットの取れない劇団の創設25周年記念のプレミアチケット。ダメもとで応募したら、あた
     ってん!」
 
 吉川香織「えー、すごいやん!うちらもつれてってぇやぁ」
 
 漆原「残念でしたー。お父ちゃんと二人で行くねん!」
 
 櫻井&吉川「えー!」
 
 たまこ「はーい、おまたせ!たま子特製、ライムジュース」
 
 受け取り、即飲み干す4人。コップを返す。
 
 たま子「あやさん、あんまり興味なさそうですね」
 
 眼鏡をあげる。
 
 鶴丸あや「うーん。あんまり演劇にはうとくて…。それに、私には章ちゃんがいるから、イケメン俳優さんにも興        味ないのー。おほほ」
 
 口元を押さえて笑う。
 
 吉川「あぁ、さよか」
 
 漆原「せやかて、天音京香やったら、知ってるんちゃう?」
 
 あや「あぁ、よくCMなんかにも出てる?」
 
 漆原「そうそう。天音京香もここの劇団の創設メンバーで、今は東京の別の事務所に所属してんねんけど、特     別公演やから客演として出はるみたい」
 
 櫻井「天音京香…奇跡の40代…。見習いたいわ―」
 
 たま子「たま子特製ライムジュースを飲めば、天音京香に負けない潤い美肌を手に入れられますよー」
 
 4人「おかわり!」

 
 京都・北区。夜11時。
 
 無我夢中で走る制服姿の少女。それを追いかける中年の男。手には血のついたナイフ。少女が交番に駆け込む。
 
 警官「どうした?何があった!」
 
 男「逃がさないぞ!」
 
 警官「貴様、何持ってる!殺人未遂の現行犯で逮捕!」
 
 警官が男を取り押さえる。



 京都地検鶴丸検事室
 
 太田「おはようございます鶴丸検事。今日も処理しなければならない案件が山積みです」
 
 デスクに積まれた大量のファイルを指す。
 
 太田「一つひとつの案件にこだわりすぎずに効率よく、テンポよく処理していきましょう!」
 
 鶴丸「おはよう、太田さん。じゃ、あなたは、私の仕事が非効率でテンポも悪いと、こう言いたいわけ?」
 
 太田「いえ。そんなことは…、と言いたいところですが、そうです。検事の仕事は非効率でテンポも悪いです、     はい」

 鶴丸「なにをー!」
 
 太田に掴みかかる鶴丸。それを取り押さえる女事務官。
 
 女事務官「やめてください二人とも、みっともない。もうすぐ被疑者が到着しますよ」
 
 落ちつきを取り戻す二人。しばらくして、ドアがノックされる。
 
 少女を追いかけていた男が腰縄手錠姿で入室を促される。
 
 鶴丸「あなたには黙秘権があります。あなたの意思に反して供述する必要はありません。では、始めます」
 
 事件の概要
 
 平成28年8月11日、北区にある吾妻孝治さん宅で殺人事件が発生。孝治さんと妻の静子さんが刺殺体で発見される。長女の麗子さんは自ら交番に逃げ込み一命を取り留めるも、襲われかけ、軽傷多数。被疑者の竹内徹(45)は麗子が通う私立洛央女子高等学校の数学科教諭。
 
 鶴丸「この日はなぜ吾妻さん宅を訪れたのですか?」
 
 竹内「麗子との関係について、話し合うために…」
 
 鶴丸「関係、というと?」
 
 竹内「僕と麗子は愛し合っていました。それが両親にばれて、呼び出されたんです」
 
 鶴丸「あなたは、『愛し合っていた』とおっしゃいましたが、麗子さんによると無理やり関係を持たされていたそ
    うですが?」

 竹内「始めはそうだったかもしれない。でも、僕にはわかる。彼女も僕を愛してくれていた」

 不敵な笑みを浮かべる竹内。複雑な表情で彼を見る3名。

 鶴丸「それで、話し合いがこじれて殺害に至ったわけですか?」

 竹内「僕たちが純粋に愛し合っていることを何度説明しても二人は納得してくれなかった…。納得するどころ       か、強姦として警察に訴えると…。かっとなって、もうわけがわからなくなって、気がついた時には二人      とも息絶えていました」
 
 鶴丸「それで、今度は麗子さんまで殺そうとした?」
 
 竹内「いえ。あの二人に侮辱された、僕たちの愛を確かめようとしただけです。でも、彼女は何故か拒んで。彼     女に僕の下に帰ってきてもらいたい一心でした。何故、交番に逃げ込んだのか、今でもよくわかりませ      ん…」
 
 鶴丸「なるほど。一つ質問よろしい?」

 竹内「はい?」

 鶴丸「愛し合ってたって言う割には、その愛の記録、あなたの部屋から全く押収されてないようだけど」

 竹内「へ?」

 予想外の質問だったらしく、鳩が豆鉄砲をくらったような顔で答える。

 鶴丸「情事を録画した映像ファイルとか、彼女の裸の写真とか…」

 竹内「それじゃまるで、僕が変質者みたいじゃないですか!だから先程からも申している通り、僕と彼女は純      粋に恋人同士だったんですよ。全く、心外だな!」
 
 鶴丸「これはこれは、失礼しました。ですが、純粋な恋人同士だったら、メールくらい残ってるんじゃ、ありませ      ん?そういうものも皆無でしたけど」

 竹内「いくら純粋に愛し合っているといっても、ばれればクビ、くらいはわかってましたからねぇ。そういう足が       つきそうなものは最初から交わさないようにしていました。毎日学校で会うので、そういうことも必要あり      ませんし」

 京都地検・ベンディングコーナーにて。
 
 女事務官「全く、常軌を逸した犯人ですね。教師という立場を利用して、言いなりにしてた破廉恥な行為を『愛
        し合っていた』だなんてよくも抜け抜けと…」

 太田「最後の質問、あれ何です?」

 鶴丸「何って?」

 缶コーヒーを飲み干す。

 太田「まるで、被疑者と吾妻麗子が、供述しているような関係でなかったみたいな聞き方でしたが?」

 鶴丸「だって、おかしいでしょ?ああいうタイプの犯人は、絶対なにか記録を残しているもんよ。それが全くな      いし、さっきも言った通り、メールの一通もないんだもん。絶対変よ、何か裏があるわ、きっと!」

 ベンディングコーナーを出ていく鶴丸。たち去り際。

 鶴丸「ちょっと成増さんのところ行ってくるわ。後よろしく!」

 女事務官「はいっ!」

 太田「ちょっと、困ります!検事!」


 京都府

 成増「おぉ、女検事さんいいところに来てくれたぁ。ちょっと金貸してくんねぇかなぁ?今月ピンチでさ!」

 鶴丸「しょうもない冗談に付き合ってるヒマないの!」

 成増「ヒマがないわりにはこんなところまでご足労いただいて、何の用ですか?」

 鶴丸「ほら、あの破廉恥教師の事件」

 成増「あの、北区の?」

 鶴丸「成増さん担当でしょ?ちょっと引っかかるとこがあるんだけどねぇ…」

 成増「あのヤマはあいつが犯人だよ、ちげぇねぇ」

 鶴丸「珍しく決めてかかるのねぇ」

 成増「長いこと刑事してるとなぁ、嘘ついてるかそうでないか大体わかるんだよ。やつは嘘ついてねぇ。それに、     あの子も本当のこと言ってると思うよ」

 鶴丸「私も、被疑者の態度を見た限りは嘘をついているようには見えなかった。でも、ちょっとひっかかるのよ」
 


 成増「メールが無いくらい、なんなのよ。ヤツの言った通り、足がつくのを恐れて、だろ?」

 鶴丸「そんな慎重派が教え子に手を出すの?普通、それこそ警察沙汰にでもならない限り、自分のメールな
     んて他人に見られることないでしょ?」

 成増「携帯落としたりするかもしれねぇじゃねぇかよ。あのな、そんな重箱の隅つつくようなことしてたら、体が      いくつあっても足りないよ」

 鶴丸「何?成増さん。太田さんみたいなこと言うのねぇ。嫌ぁ」

 成増「あいつと一緒にはされたくねぇわな」

 鶴丸「だったら、もうちょっと調べてみなさいよ!」



 鶴丸家。

 鶴丸と池内刑事がビールを酌み交わす。

 池内「成増さんから聞きましたよ。また、細かいことにひっかかってるんですって?」

 鶴丸「そうなのよ。破廉恥教師の事件なんだけどね?」

 池内「メールがなかった、とか」

 鶴丸「普通はそういうのあるでしょ?削除してたわけでもないみたいだし…。本当にあの二人、特別な関係だ       ったのかしらね?」

 池内「え?でも、だとしたら動機の点からひっくり返りますよ」

 鶴丸「そうねぇ」

 玄関チャイムが鳴る。玄関へと向かう鶴丸

 鶴丸「噂をすれば…」

 成増「何?池内もいるのか?」

 池内「今、破廉恥教師の話してたとこなんですよ」

 成増「え?まだひっかかてるの、おばちゃん?」

 鶴丸「おばちゃんじゃない!明日、吾妻麗子さんに会いたいんだけど、大丈夫?」

 成増「ほぼ面会謝絶状態だから、俺たちだって話聞くの難しいんだぜ…。まぁ、いい。明日一緒に行くか?」


 京丹大学病院・吾妻麗子の病室前にて。

 池内「すいません、遅くなりまして。先に学校の方行ってたもんですから」

 鶴丸「あれ?池内さんも捜査員なの?」

 池内「えぇ。自宅は管轄外ですが、学校は三条署の管轄内なので。合同捜査です。」

 成増「行こうか」

 池内「先生、今日は面会できそうですか?」

 医師「そちらの女性は?」

 鶴丸京都地検鶴丸です」

 医師「今日はあまり体調が優れないみたいなので、女性の検事さんだけなら構いませんが」


 麗子の病室。

 鶴丸「はじめまして。京都地検鶴丸です。」

 ベッドに横たわり顔を背けたままの麗子。ベッド脇の椅子に座る鶴丸

 麗子「もう、お話することはありません」

 鶴丸「プリン、好き?」

 麗子「え?」

 振り向く。

 鶴丸「このプリン、京都一おいしい、って聞いたことあったから、どうかなって思って。」

 プリンを受け取る麗子。

 麗子「これ、天翔堂のシルクプリン。並んでも買えないヤツでしょ?」

 鶴丸「2時間もまたされた。でも、待った甲斐があった」

 麗子「え?まだ食べてないのに?」

 鶴丸「十分。あなたの顔が見れた。思ったより血色がよくてちょっとほっとした」

 麗子「食べてもいい?」

 鶴丸「もちろん」

 ゆっくりと口に運ぶ。

 麗子「おいしい」

 涙がこぼれる。

 鶴丸「じゃぁ、これも冷蔵庫入れとくね」

 残りのプリンを指す。

 麗子「いえ。検事さんも一緒に食べて。一緒に食べてください」

 鶴丸「そうね。一緒に食べた方がおいしいものね」


 京丹大学病院・喫茶室

 成増「それで、プリンだけ食べて帰ってきたのか?」

 鶴丸「そんな、最初からズケズケもの聞くほど神経図太くない!」

 成増「よく言うよ…」

 鶴丸「は?」

 池内「なんで僕たちの分のプリンおいてきちゃったんですか」

 鶴丸&成増「そこ?」

 池内「冗談ですよ」

 鶴丸「でも、プリン食べただけでもだいぶ収穫はあった」

 池内「どんな?」

 鶴丸「あの子が心に深い傷を追ったことは確かよ。あの事件だけじゃなく、もっと以前からずっと、傷つけられ      てたんだと思う。そして、大切なものを失った喪失感もあった…」
 
 成増「ほらみろ、やっぱり俺たちの見立て通りじゃねぇかよ、全く…」


 池内「見立てというよりも本人たちがそう言ってますしねぇ。ただ、僕も聞き込みしてて疑問点が出てきたんで     すよ」

 成増「なんだよ、疑問点って」

 池内「いやね、竹内についていろいろ聞いて回ってたんですけど、聞けば聞くほど、いい先生で」

 鶴丸「ん?」

 池内「生徒思いの先生だったみたいです。質問会とか毎日のように開いては生徒の多種多様な質問に丁寧       に答える、勉強熱心な先生だったそうです」

 成増「なんだよ『多種多様』って」

 池内「竹内は数学科なんですけど、他の科目の質問にも答えてたみたいですねぇ。京大卒のエリートで、ど       の教科も玄人はだしだったみたいです。だもんで、生徒からの信頼は厚かった半面、教師のなかには      ねたんだり、上手くいっていない人もいたみたいですねぇ。」

 成増「ロリコンの気とかはなかったのかよ?」

 池内「皆無だったようですよ。ま、この件に関しては本人も『あくまで麗子を愛しただけで少女趣味というわけ       ではない』って否定してるみたいですけどね」

 鶴丸「麗子さんとの関係は?」

 池内「教師と生徒としてはとても良好だったようですよ。にしても、プリン食べただけで、なんでいろいろわかっ      たんですか?」

 鶴丸「主婦の勘!」

続く