2次創作 相棒 「理想郷」 下

次の朝ドラ「わろてんか」、出なさそうですねー。
こないだ、ふと、「関西が舞台だし、出て欲しーな」とか思ってたら、2,3日後にキャスト発表があって、いよいよぎーやなさんエスパー疑惑浮上です(笑)

いえいえ、ただの偶然ですから。

渡瀬さんが亡くなられる直前に、アーカイブスが3回連続渡瀬さん作品だったこともありましたが。

そろそろ映画にも出ていただきたいなー、とか思ってたら映画出演の情報が来たりしましたが、偶然です。

変態ですが、凡人です。

今のところ、CMが見てみたーいと思っているので、これが叶えば、ちょっとは何かしら能力があるの、かも?
まぁ、どっちみち、何の役にも立たないことに変わりはありませんが。

それにしても、こんなイカれてるヤツに気に入られるなんて、僕蔵さんも災難ですね。




も、合わせてどうぞ!


 病院前にて。退院した榊原が松葉杖をつきながら出てくる。 
 
 神戸「退院、おめでとうございます」

 榊原「めでたくなんかありませんよー。また、仕事探さないといけませんしねー。はぁ…」

 杉下「ちょっとお話よろしいですか?この事件の真相がわかりましたので」

 榊原「やっぱり、『エッヂ』の人間が関わっていたんですか?」



 公園のベンチに腰掛ける榊原。杉下と神戸は立ったまま話始める。

 杉下「僕は、あなたがケガをする度に職場を転々としているのがどうも、ひっかかっていたんですよ。えぇ」

 榊原「だからそれは、命を狙う何者かから逃げるために…」

 杉下「だったら何故、引っ越しなさらなかったのでしょう?」

 榊原「は?」

 神戸「職場を変えたって、住居一緒ならなんにもならないもんね?」

 杉下「どうして、家の近くで襲われることをお考えにならなかったのでしょうか?」

 榊原「それは…もちろん、思い至りましたが、引っ越しを繰り返せるほど、裕福じゃありませんから…」

 杉下「裕福ではないのにもかかわらず、職を転々としていた…」

 榊原「揚げ足取らないでくださいよー」

 杉下「職場を転々としていたのは、短期間に複数回事故に遭っていることを隠すため、ではありませんか?」

 榊原「おっしゃってる意味がよくわかりませんが。それじゃまるで、僕が…」

 神戸「わざとケガをしていた」

 杉下「違いますか?」

 榊原「違いますよ。真顔で何すごいこと言っちゃってるんですか?」

 神戸「しかし、危うくタクシー事故のときと同じ病院に回されそうになった。だからあんなに拒否したんですね?」

 杉下「タクシー事故の時は、空いている病院がなかなか見つからず、たらい回しされて帝都総合病院へ搬送された。当時意識を失っていたあなたは、そのことに気づいていなかった。ただ、各事故現場が離れていればよい、と思ったのでしょう」

 榊原「あのー、勝手に話膨らませてるところに悪いんですけど、どうして僕がそんなことしなきゃならないんです?」

 杉下「最初、僕は娘さんへ保険金を残すために自殺を図っているものとばかり思っていました。ですが、それならもっと確実に死ねる方法をとるはずです。加入年数も長く、自殺でも保険金が下りる契約になっていますから尚のことです。ところが、あなたはこうして生きている」

 榊原「昔から悪運が強い方なんですよ…」

 杉下「どういうことかと思い悩んでいるとき、僕の知人が、仮病を使って人の気を惹こうとする老婆の話をしてくれました。それで、ピンときました…あなたも、同じですね?」

 榊原「け、仮病?このケガが、嘘だといいたいんですか?馬鹿馬鹿しい。そう思うのなら、今すぐ病院に戻って、カルテでもなんでも調べてくださいな。正真正銘、本物のケガですよ」

 杉下「えぇ。ケガは本物でしょうねぇ。あなたは、わざと自らの体を傷つけた…」

 榊原「は?」


 榊原「な、何です?」

 杉下「18世紀のプロイセン貴族であるミュンヒハウゼン男爵は晩年、話好きで、毎晩のように客人を家に招いては、若かりし頃の英雄譚をフィクションを交えてドラマティックに語り、ほら吹き男爵と呼ばれていました。そんな彼から名前をとった、精神疾患ですよ」

 榊原「精神疾患?」

 杉下「具体的には、他者からの関心や同情を惹くために病気を装ったり、自らの体を傷つけたり…」

 神戸「自殺未遂が発端なんですね?」

 杉下「会社から酷い仕打ちを受け、家族からも見放されたあなたでしたが、唯一、病院の医師や看護師たちはあなたを丁寧に扱ってくれた…そのことが忘れられませんでしたか?」

おもむろに立ちあがる榊原。

 榊原「あなたたちに、何がわかる?あぁ、そうですよ。全部、自分でしたことです。再就職先にタクシー会社を選んだのも、自然に事故を起こせる環境だったからです。少々、やり過ぎましたが…」

 神戸「あなたは、病院で手厚く処置を施されることに快感を覚えていた。だから、退院時期が早いと、ごねていたんですね?」

 榊原「四半世紀近く尽くして来たんだぞ。なのに、その会社に裏切られて…。不正を糾弾したのだって、会社を愛していたからなのに…。妻と娘だって、どうですか?僕が無職になった途端、手のひらを返すように冷たくなって。アイツは元々高卒の僕を心の中じゃバカにしてたんだ…」

 杉下「あなたにとって、病院は『理想郷』だったのですね?」

 榊原「えぇ、あんなに居心地のいい場所は、他にありませんよ。ところで、僕、何か罪になるんですか?」

 杉下「はい?」

 榊原「え?だって、僕、自分にケガさせただけですよね?誰も困らせてないし…」

 杉下「いい加減になさい!あなたの元奥様は保険金殺人の容疑がかけられていたんですよ!『エッヂ』の会計課長も、長い間取り調べをうけていました。みんな、あなたの、その、くだらない自己満足のせいで。恥を知りなさい!」

 茫然と立ち尽くす榊原。



 榊原は偽証罪などの疑いで取り調べを受けたものの、精神疾患を理由に送検すらされず、拘置所内の医師から、精神科への紹介状が渡され、釈放された。

 榊原「これでまた、入院できるぞ。今度は長くなりそうだなー。病院、病院!」

 紹介状を握り締め、松葉杖をつきながら歩を早める榊原。



 警視庁特命係の部屋にて。

 角田「た、大変だぞ!」

 神戸「どうしたんですか、そんな血相を変えて…」

 角田「お前らがこないだパクった、おおかみ中年、亡くなったらしいぞ」

 杉下「おおかみ中年とは、榊原さんのことですか?」

 神戸「え、なんで?」

 角田「階段から転げ落ちたんだと。ほら、昨日の夜から明け方までずっとひどい雨だったろ?それで、足滑らせたんだろうって。精神科に行く途中だったんだそうだ。しかも、その階段、お前さんがこの間そいつを助けたところらしいぞ」

 神戸「マジっすか…」

 杉下「なんとも皮肉な結末ですねぇ。まさに『おおかみ少年』そのものじゃありませんか」

 神戸「救いは娘さんに多額の保険金が入ること、くらいですかね…」

 紅茶を一口飲み、感慨深い表情をする杉下。

 終わり


いかがでしたでしょうか?

よく考えたら、2作とも僕蔵さん最後亡くなってんじゃん(笑)
次の話では、殺しませんので。

次作は僕ロスがMAXの頃あいを見計らって掲載します。
めちゃくちゃキュンキュンな話なので…。