オリジナル創作 「おじさんロイド」 第4話


初めていらっしゃった方で今後も遊びに来てやろうかと思って下さる大変奇特な方は是非「ぼくようびのトリセツ」(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36144883.html)も合わせてお読みください。
ちょくちょくお越しいただいている方も、結構頻繁に更新していたりするのでたまーに見返していただけたらありがたいです(^ω^)
随時コメント大歓迎!忌憚のない感想をお寄せいただければ幸いです♪


前回のマナブ、めっちゃ積極的でしたね。
アンドロイドのくせに、なかなか殺し文句がお上手で(笑)

ネットで検索したのかな?

さてさて、今回は波乱含みの展開です!



 
 マナブが来て2カ月目。
 2度目のモニター調査。


 博士「どうですか?彼との暮らしは…」

 香織「以前はただ用事をこなしてくれるだけの存在だったんですけど、最近ではいい話相手になってくれてて。人間と違って相手の気持ちも考えなくて済むから気が楽で…。それに、くれるアドバイスも的確で、助かってます」

 博士「私の狙い通りですねー。いやいや、大いに結構」


 数日後。
 マナブが来てから初めて、香織の彼氏・崇史が家にやってきた。

 崇史にお茶を出すマナブ。

 崇史「ど、どうも…」

 二人とは少し離れた、部屋の隅で三角座りするマナブ。

 崇史「なぁ、なんでおっさんにしたんだよ?」

 マナブ「おっさんじゃありません!マナブです!」

 香織「ごめんごめん、マナブくん。ちょっと、崇史」

 崇史「謝ることないじゃん。だって、感情ないんだろ?」

 香織「そうだけど、道具にだって『ありがとう』っていうこと、あるでしょ?」

 崇史「え?俺はそういうのないけど」

 香織「ほんっと、崇史はクールなんだから…」

 崇史「それにあんなんいたんじゃ、できないじゃん」

 香織「何が…」

 マナブ「あの…」

 香織「はい」

 マナブ「電源、切っておきましょうか?」

 香織「あ…ごめんなさいね」

 マナブ「いえいえ。謝ることありませんよ。アンドロイドですから」

 自ら首の後ろにある電源のスイッチを切るマナブ。

 ゆっくりとうなだれ、動かなくなる。

 崇史「意外と気がきくじゃん」

 香織に抱きつく。

 香織「ちょっと」

 崇史「久しぶりだし、な」

 香織「仕方ないな、もう」

 しばらく触れあっていると、急に崇史が香織の体を離した。

 香織「崇史、どうした?」

 崇史「あ、あいつ、さっきこっち向いてたぞ」

 香織「え?」

 マナブの方を見やる。が、そこにいたのはうなだれ固まったままのマナブだった。

 香織「なんだ、気のせいじゃん」

 崇史「マジだって」

 香織「ちょっと待ってて…」

 マナブが“置いてある”場所まで行って確認する。電源は確かにオフになっている。

 香織「やっぱり、崇史の気のせいだよ」

 崇史「お前、俺よりあのおっさん信用すんのかよ!」

 香織「信用とかそういうんじゃなくて、事実電源入ってないし…。ってか、おっさんじゃなくて、マナブくんだよ」

 崇史「お前、一緒に過ごしてて変な情が移ったんじゃないのか?」

 香織「は?」

 崇史「気持っち悪…。俺、そういう女無理だから」

 香織「え?」

 崇史「もう終わりにしよう」

 そそくさと立ち去る崇史。

 途方に暮れる香織。
 仕方なく、マナブの電源を入れる。

 マナブ「製造番号2357、お手伝いアンドロイド・マナブ起動しました。香織さん、崇史さんはお帰りですか?」

 香織「私みたいな女、無理なんだって」

 マナブ「そうですか。それはよかった」

 香織「は?」

 マナブ「彼の言動、態度、服装から人工知能が計算した結果、彼は高い確率で亭主関白になるでしょう。また生涯年収もあまり高くないグループに属するという予測も出ていますね。また、将来結婚してイクメンになる確率は…非常に低い、というデータも得られています。それから…」

 香織「うるさい!」

 マナブ「はい?」

 香織「私、振られたんだよ?それなのに、『よかった』だなんて…」

 マナブ「ですが、統計的にはそちらの方が…」

 香織「何が統計よ、何が計算結果よ!そんなのどうだっていい!そういうことは、自分で判断するものなの!いい?私が彼に振られたのは、アンタのせいなの!」

 マナブ「私の、せい?」

 香織「そうよ!何がお手伝いアンドロイドよ!もう、顔も見たくない!出てってちょうだい」

 マナブ「私はここ以外に、行くところがありません」

 香織「そんなの人工知能で計算して見つけなさいよ!もう、二度と帰って来ないで!」

 マナブ「わ、わかりました…。あなたの望みを叶えるのが私の役目、ですから…」

 部屋を立ち去るマナブ。


 しばらくの間、香織は一人泣き暮れた。恋人を失っただけでなく、何でも話せる“友だち”まで失くしてしまったのだ。
 それも、全くの八当たりで。
 崇史とは長くないのではないか、と以前から薄々感じていたのだ。遅かれ早かれ自分たちは離れる運命にあったのだ。
 それを、男に振られた情けなさを、マナブに押しつけたのだ。感情が無ければなにをしてもいいなんて、それじゃまるであの冷酷男と同じではないか…。

 ぽつぽつ、と雨が降ってくる。次第に雨あしを強め、一気に豪雨と化した。
 脳裏にマナブの言葉がよみがえる。
 

 「水が苦手です。一応、防水加工は施されていますが、多量の水をかぶると故障してしまうので、ご注意ください」

 豪雨の中、傘も持たずに部屋を飛び出す香織。

 ~続く~

 
 雨の中、行き場を失くし彷徨っているであろうマナブの運命やいかに!

 崇史くん、なんかめっちゃひどい男みたくされてるけど、そりゃ恋人の家におっさん(型アンドロイド)おったら…キモいわな(笑)