オリジナル創作 「おじさんロイド」 第7話(終)


初めていらっしゃった方で今後も遊びに来てやろうかと思って下さる大変奇特な方は是非「ぼくようびのトリセツ」(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36144883.html)も合わせてお読みください。
ちょくちょくお越しいただいている方も、結構頻繁に更新していたりするのでたまーに見返していただけたらありがたいです(^ω^)
随時コメント大歓迎!忌憚のない感想をお寄せいただければ幸いです♪



前回、衝撃の展開に殆どの方が仰天されたことと存じます。

が、今回、もっと仰天させちゃうかもです。

めまいしちゃうかもです(><)




 目が覚めると香織は全身汗びっしょりだった。
 ベッドの下を見下ろすと、充電モードのマナブが横たわっている

 そう、香織は悪夢を見ていたのだ。

 香織の大声に緊急事態モードが作動し、起き上がるマナブ。

 マナブ「どうかしましたか?うわぁ、ひどい汗だ。一体、どうしたんです?」

 香織に近づくマナブ。

 香織「来ないで!」

 マナブ「え?」

 香織「あ、ごめんなさい。怖い夢を見たから」

 マナブ「そうでしたか…。じゃぁ、とりあえずシャワーを浴びられてはいかがですか?」

 香織「えぇ。そうするわ」

 ベッドから降りて、バスルームへと向かう。

 が、くるりと向きを変えマナブに近づく香織。

 香織「あの…」

 マナブ「何ですか?」

 香織「あなたの、その…服で隠れている部分、見せてもらいたいんだけど」

 マナブ「え?」

 香織「いいから早く!」

 マナブ「わかりました」

 ゆっくりとシャツのボタンをとるマナブ。シャツをはだけるとそこには、メタリックなボディーが現れた。

 ズボンの下も同じような材質でできていた。

 マナブ「首から下、四肢以外の胴体はむき出しなんです。このシリコン、すっごく高くって…」

 言い終わらないうちに、香織はマナブを抱きしめた。

 香織「ごめんなさい」

 マナブ「いいんですよ。余程怖い夢を見たんですね。明日はモニター調査の日です。シャワーを浴びてゆっくりお休みください」


 翌朝。
 6度目のモニター調査。


 博士の応接室のソファにマナブと香織が座っている。

 香織はうつむいていた。

 博士「それにしても驚きですね。まさか半年でここまで進化するなんて」

 マナブ「あぁ。正直、僕も驚いているよ」

 博士「アンドロイドが夢を見るなんて」

 部屋のモニターを操作するマナブ。すると、そこに昨日香織が見た悪夢が映し出された。
 よく見ると、香織の体からはケーブルが出ており、モニターに繋がれている。

 博士「教授が人間であることに、気づき始めたのかもしれませんね…」

 マナブ(教授)「崇史くんとの別れ方を違った風にプログラムしておけばよかったかな。にしても、僕はこんなことしかねないとカオリに思われていたのかな…」

 博士(助手)「ははは」

 教授「そこ、笑うところじゃないよ!」

 助手「失礼しました」

 モニターを消す教授。

 教授「いやー。ジュラルミンをつけててよかったよ。まさか体を見せてくれと言われるとはね…。おかげであせもがかなわんよ」

 助手「雨に打たれて故障しかかったときも、どうなることかと思いました」

 教授「あの時は僕もヒヤヒヤしたよ。何せ10年以上かかった研究が、パーになるところだったのだから。彼女が目を覚ましてくれたときは…跳びはねたいくらいに嬉しかったよ…」

 助手「教授、アンドロイドが感情を持っただけでも驚くべきことなのに、夢を見るようになっただなんて。これはノーベル賞ものですよ」

 教授「そうだな…」


 回想。半年前。

 教授「カオリには、ほとんど完璧と言っていい程の感情を持たせることができた。涙も流すし汗もかく。しかし、人間らしさにはあと一歩、何かがたりないような気がするんだ。何かいいアイデアはないかね?」

 助手「そうですね…。いっそ、人間として生活させてみる、というのはいかがでしょう?それも、人間的ではないもの…例えば、それこそアンドロイドと生活させてみる、というのは」

 教授「なるほど、それは興味深いな。ならいっそ、僕がアンドロイドになってみようか」

 助手「教授が、ですか?」

 教授「あぁ。そうすれば、常に観察できるし、こちらの望む様にコントロールすることができるからね」


 現在

 助手「では、早速カオリと同型のアンドロイドの量産体制を整える手配をしておきます」

 教授「あぁ。では、私は論文にとりかかるとしよう」

 助手「カオリはどうします?」

 教授「ん?」

 助手「十分なデータは得られましたし、もう必要ないでしょ?まぁ、処分してしまうのは勿体ないですから、初期化してアンドロイドだと自覚させたうえで、雑用係にでもしますか…」

 教授「あの…」

 助手「なんでしょう?」

 教授「このままに、しておいてはくれないか」

 助手「は?」

 教授「出来れば、今の暮らしを続けたいと、思ってる」

 助手「え?ま、まさか教授、本気でカオリのことを?」

 教授「あぁ」

 助手「もしかしてカオリのモデルは…」

 教授「僕の妻だよ。亡くなった時、丁度彼女と同じ年齢だった。というより、同じ年齢に設定した、という方が正確だな」

 デスクに置かれた写真を助手に手渡す。

 助手「これは…」

 写真には若かりし日の教授とカオリそっくりの女性が映っていた。

 教授「ははっ。人類のための研究が聞いて呆れるよな。僕は多額の国家予算を“自分の亡き妻を蘇らせるため”につぎこんでいたのだから」

 助手「教授…」

 教授「一緒に生活していくうちに、当初プログラムしていなかった仕草や口調まで妻に似てきて、本当に…驚きだよ」


 回想。15年前。

 妻「学くんったら、ほんと理屈っぽいんだから」

 教授「あのね、理屈っぽいというのと“理屈が通っている”というのは別物だからね。僕は後者の方なので」

 妻「ふふふっ」

 教授「何がおかしい?」

 妻「学くんのそういうとこ、好きよ」

 教授「僕は君の全てが好きだ」

 妻「まぁ。そんなこと言ったって、許してあげないんだからね」


 現在

 教授「だから、マナブのままでいさせてはくれないか?」

 助手「わかりました。カオリは元々、女性だけが死に至る原因不明の感染症の大流行により女性の人口が男性の半分にまで減ってしまった問題を解決するために開発された“恋人アンドロイド”なのですから…。それにしてもよくわからない」

 教授「何がだね?」

 助手「そこまでして亡くなった奥様に会いたいという人間の気持ちが、私にはわからな…」

 急に動きを止める助手。

 教授「おっとっと…。ちょっと働かせすぎたかなー」

 充電用マットを敷き、そこへ助手を横たえる。

 教授「君にもそのうちわかるようになるよ。なにせカオリのおかげでアンドロイドが“人間らしさ”を獲得するメカニズムが解明されたのだからね」


 帰宅の途に着く“一人と一台”

 カオリ「モニター調査は今日で終了なんですって」

 教授「そうですか。それはおつかれさまでした」

 カオリ「ありがとう。あぁ、なんかお腹減っちゃったなぁ」

 教授「わかりました。私がとびきりおいしいのをごちそうしましょう」

 カオリ「何作ってくれるの?」

 教授「それは出てきてからのお楽しみです」


 帰宅後。

 教授「はい、どうぞー」

 カオリ「あ!私の大好きなオムライス!」

 教授「卵は半熟ですよー」

 カオリ「いただきまーす」

 というと、手を合わせたままの状態で固まる。
 テレビモニターを起動する教授。

 そこには、オムライスを美味しそうにほおばるカオリの姿が映し出された。


 モニター内

 香織「うーん!相変わらず料理上手だね、マナブくんは」

 マナブ「上手なのは料理だけじゃありませんよ」

 香織「ふふふ。そういうとこやっぱりアンドロイドっぽいよね」

 マナブ「やっぱり、どうあがいても人間にはなれない、ということですか…」

 香織「なる必要なんて、ないよ」

 マナブ「え?」

 香織「私はアンドロイドのマナブくんが好き」


 現実世界

 教授「本当に食べているのは、僕の方だとも知らないで…」

 固まったままのカオリの頬に指をすべらせ、オムライスを頬張った。


~終わり~


い、いかがでしたでしょうか?

夢オチと見せかけての、まさかの逆転現象!

ちょっとひねりすぎましたかね?

実は、夢の部分は直前に思いついて。

というのか、実はマナブは変質者でしたー、っていうラストもいいなぁと思いついちゃって。

でも、逆転も捨てがたいし…。

と悩んだ挙句、「夢」として登場させる、という苦肉の策を弄しました。


因みに、半熟卵のオムライスはぎーやなさんの好物!

そうね。やっぱり香織に自分を重ねちゃってるところもあったり、なかったりですね。

にしても、ぼくぞーロイド欲しいー!

だれか開発してー!

抱っこしてもらって、頭ぽんぽんって…うへへへ(//▽//)
←テメェ、やっぱりいっつもそんな妄想ばっかしてんだろ?

否定も肯定もしません。色んな意味で(爆)


「創作」の次回の更新は未定です。

リクエストください、と言いたいところですが求められたものを書くのがニガテでして…。

とりあえず書きかけのものが2つばかりありますが、書き上げる自信nothingでふ(><)