オリジナル小説 「うそ」5

初めていらっしゃった方で今後も遊びに来てやろうかと思って下さる大変奇特な方は是非「ぼくようびのトリセツ」(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36144883.html)も合わせてお読みください。
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僕蔵さんのファンになったばかりで、どの作品からみたらいいかわからない、という方は当ブログの「正名僕蔵さんの出演作品一覧(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36414279.html)」を参考になさっていただけると幸いです。

今回も時子の愛らしさが爆発です!
あぁ、私もこんなお嫁ちゃんが“欲しい”(笑)

因みに今日は頑張りましたよ。
あ、際どい描写のことじゃなくって、リアル世界でw

朝3時に目が覚めて(就寝は12時過ぎ)そこからいんぐりむんぐりして全然眠れなくて結局4時半にえいっ!と起きて、それから日常の業務と並行してお節づくりして、全部出来たのが午後3時半。

それからちと休憩して、台所の掃除…。

明日はそれ以外の掃除。
で、そのための事前の片付けものを今からやって、寝る予定。

うん、元日は倒れてんな(笑)

でも、家族が留守の間だけだったけど、「ぼくコレ」DVDを3枚立て続けに見られて、幸せでした♪
(といっても作業中だったからほとんどかけっぱ状態だったんだけどね)

特に、休憩時間に流しっぱでうたた寝したのが、もうね…(^ω^)

そんで気づいたことが2つ。

1つ!私は僕蔵さんのお声も好き!
2つ!根本太郎(占い師みすず2)は声だけでもだいぶキモい!

ごめんなさい、長々と…m(_ _)m




  「お土産、みなさん気に入ってくださるといいわね」
 「あぁ、きっと気に入るさ…そうだ、時子」
 「何です?」
 「君、お土産を持って久しぶりにご実家に泊まりに行ってはどうだい?」
 「え?よろしくて?」
 「あぁ、もちろん。ご両親にとっては、それが一番のお土産になるだろうしね」
 「えぇ」
 「土産話もうんとすればいい」
 「でも、どうしましょう」
 「何だい?」
 「お話できるのは、半分くらいで…」
 そう言うと、時子は顔を赤らめ俯いた。
 確かに、時子の言う通りだった。
 「全く、君って子は…いや、すまなかったね。人に話せないようなことを…色々としてしまって」
 「いえ!時子はその…大変嬉しゅうございました!」
 「ははは、それは何より。僕も、とても楽しかったよ」

 「それでは、行って参ります」
 「あぁ、父上母上によろしくね」
 「えぇ、では」
 「あぁ、気をつけて」
 「ねぇ、やっぱりあなたも一緒にいらしたら?」
 「いやぁ、僕が行ってはかえってご両親が気を遣われるでしょう?それに、君だって羽を伸ばせないじゃないか」
 「いいえ。私はこちらに来てからの方が羽を伸ばしているようなものですのよ」 
 それは確かに言い得て妙だった。
 「僕のことなら心配しなくても大丈夫だよ。飯だって簡単なものなら拵えられるし、2日くらいどうとでもなる」
 「いえ、ただ…」
 「ん?」
 「もちろん、実家に帰るのはとても楽しみだけれども、時子は…あなたと離れるのがさみしくて…」
 「ははは、よしよし」
 そう言うと私は時子を抱きしめ、頭をなでてやりながら続けた。
 「じゃぁ、帰って来たら、うんと可愛がってあげよう」
 「きっとよ」
 「あぁ。恐らく君が嫌がってもそうするだろうよ」
 「え?」
 「だって、僕も大層さみしかろう」

 このように別れを惜しんでいたのにもかかわらず、帰って来た時子の表情に寂しさは微塵も感じられなかった。そして、それが幾分悔しく思われ、私の機嫌をほんのわずか損ねた。

 「それでね、女学校時代のお友達のきみちゃんとばったりでくわしてね、それで一緒にお芝居を見に行ったの」
 「何の芝居?」
 「歌舞伎よ、市川海老蔵の『楼門五三桐』。とても素晴らしかったわー、彼の石川五右衛門。『絶景かな、絶景かなー』って、お聞きになって?」
 「あぁ、聞いてるじゃないか、ちゃんと」
 「そうかしら?」
 「そうだとも」
 「その割には、えらく仏頂面だこと」
 「僕は生まれつきこういう顔なんだ。それに…」
 「なぁに?」
 「僕はあまり芝居は好きじゃないもんでね」
 「あら?もしかして、やきもちお妬きになっているの?」
 「そ、そんなこと、あるわけなかろう!」
 「いいえ、そうに違いないわっ!」
 「だから、違うと言ってるではないか!これだから女は…」
 「ちょっと、そういう言い方ないんじゃなくて?」
 「だって、そうだろう?勝手に自分の思いこみで結論づけるのは女の専売特許みたいなものではあるまいか?」
 「まぁ!素直にお認めになられたなら、やきもちだなんてかわいらしい、と思いましたのに。もう、知りませんことよ!」

 それから、時子の機嫌はなかなか直らなかった。私も私で、謝ればよいものを、強情を決め込んでいた。機嫌が悪い間も時子は家事を淡々とこなしていた。いや、むしろいつもよりも完璧にこなしていた。
 そのような状態が三日続き、とうとう耐えきれずに、私の方が折れた。

 「おときちゃん、おとき坊。僕が悪かったよ。だから機嫌を直しておくれな。君があんまり楽しそうで、少し悔しかっただけなんだよ。ね?」
 「私だって、さみしかったのよ。けれど、折角あなたが言って下すったのだから、あんまりさみしそうにしていてはと思って、明るく振舞っていましたのに…あんまりじゃありませんか!」
 「そうとは知らずに、すまなかったよ…」
 「すまないとお思いになられるのなら、お約束を守ってくださいましな」
 「約束?」
 「帰って来たら、うんと可愛がってくださるんじゃなかったんですの?」
 「いいのかい?」
 「だって、私が嫌がってもそうすると、おっしゃっていたではありませんか…」
 「おときちゃん…君は本当に、いじらしい」


 それから三月ほど経ったある日のこと、買い物から帰って来た時子は血相を変えていた。
 「あなた」
 帰ってくるなり怯えた目でそう言うと、時子は私に抱きついた。
 「何かあったのかい?」
 「知らない男の人に後をつけられて…何か話しかけられそうになったので、慌てて家に駆け込みましたの」
 「それは怖かったね、よしよし。もう大丈夫だからね」
 「あなた」
 再びそう言うと、時子は私を抱く手を強めた。
 その時、何者かが玄関の戸を叩いた。
 「きゃっ」
 「大丈夫、僕が追い払ってやろう」
 「駄目よ、開けては。暴漢だったらどうなさるおつもり?」
 「私にまかせておきなさい」
 そう言うと、私は勢いよく戸を開け、
 「私の妻に何かご用ですかな?」
 と大声を張り上げた。
 が、戸を叩いた人物を認めるなり、私は満面の笑みを浮かべた。
 「いや、この近くに『渡邊』というお宅はありませんか、と尋ねようとしたのだが、何やらそのご婦人が勘違いしたようでね?」
 「かん、ちがい?」
 「今出川、久しぶりだなー。こっちへはいつ?」
 「おとといな。そんなことより、紹介してくれたまえよ。君の奥方なんだろ?」
 「あぁ。妻の時子だ」
 「時子で、ございます。とんだ御無礼を…。何卒、お許しくださいませ…」
 「頭をお上げくださいな。僕は別に斬り捨て御免の武士じゃありませんよ」
 「紹介しよう。僕の帝大時代からのゆうじ…腐れ縁の今出川彰文だ」
 「腐れ縁で悪かったな。ささ、コイツで一杯やろうぜ」
 そう言うと今出川は持参した酒瓶を持ち上げた。
 「こりゃいいや」

 「いやね、君が妻をとったと聞いてね。しかも『借金の形に』と言うじゃないか。もう、どうしても自分で確かめたくって。大阪から帰って来てすぐにこちらに赴いた、というわけさ」
 「『借金の形』だなんて、人聞きの悪い…」
 「でも、お前のことだ。どうせ『形だけの結婚でいい』とかなんとか言ったんだろう?」
 「どうしておわかりになるのです?」
 つまみを持って来た時子が話に入って来た。
 「時子!」
 「こいつはそういう男なのさ。とにかく優しいし、人の道に反することができない質なんだよ」
 いや、私は今出川が言うような人間ではない。実際、人の道に反する方法で時子を我がものにしたのである。

 時子が席を外した後、私は本当のところを今出川に包み隠さず述べた。奴には嘘をつきたくなかったのだ。

 「そうだとしても、お前は彼女がそう言ってくれるまで手出ししなかったのだろう?それはやっぱり、すごいことだぜ」
 「ふんっ、かいかぶりだよ」
 「いやぁ、お前にとって彼女はよっぽど大切な女性だったんだなー」
 それは、確かにそうであった。そして、その気持ちに少しも変わりはなかった。いや、より一層強まっていた。
 「でもまぁ確かにお前が悶々とする気持ちもわかる。何で、正攻法で向かって行かなかったんだい?」
 「それは、容姿端麗のお前には逆立ちしたってわからないだろうよ」
 「は?どういう意味だ」
 「俺はコムプレックスの塊のような男だからな」
 「コムプレックス?有史以来の天才が、か?」
 「コムプレックスって、何ですの?」
 気づくと時子が次の肴を持って来たところだった。一番聞かれたくない話題であった。
 「劣等感、という意味ですよ、奥方」
 「劣等感?主人が、ですか?」
 「ね、やっぱりおかしいですよね?」
 「えぇ。なんでまた?」
 「何でって…君は若くて気立ても良くて、器量もそれはもう申し分ないけれど、僕はその…年も40前だし、見た目も…」
 「見た目が、何ですの?」
 「その…器量はまるで駄目だろう、だから…」
 「え?あなたの、でございますか?どこが駄目なのでございます?」
 「え?」
 それは、全く予期しない返答だった。
 私の動揺した様子を悪友がにやつきながら見つめている。
 「だって、目は二つ、お鼻も、お口だってちゃぁんとついているではありませんか!」
 「あはははははは!奥方様のおっしゃる通りだ。ははははは!」
 「いや、それはそうだが…」
 「それに、私は好きですのよ、あなたのお顔」
 「え…」
 「私ね、あなたの目がたまらなく好きなのでございます」
 あまりにも意外過ぎて、私は絶句した。

~続く~


次回、おときちゃんがさらに“私”の容姿をほめちぎります!

そうね…「容姿がまるで駄目」とか独白させてしまったお詫びです(笑)

因みにぎーやなさんの脳内での今出川谷原章介さんだったりします。

※次話更新は31日の午後11時です。
翌年1日の午前0時には、かねてより予告しておりました新企画の記事をアップします。

次々話からは通常通り0時更新とします。