当初、「出演予定」のあとがきにするつもりだったこのお話。
先日「物理学者と猫」見てて、ふっと思いついて。
お話、というよりも、妄想、ですかねー。
堀井先生の後生がこんなふうだったらいいのになぁ、というようなことをざっくりと書き記すつもりだったのですが、文字にしていくと案外膨らんじゃって。
と言っても、細かい描写とかまでは詰めれてません。
ラフ画的なノリで?
だから時間経過とかもハンパないです。
ヒマつぶしくらいにはなるかな?
本編から約半年後。
ある日、堀井が所用から研究室に戻るとホワイトボードに書き残した数式に手が加えられ、その前に1人の女子学生が思案顔で立っていた。
「君、何してるんだそこで!」
「あ、すみません。声をかけてもお返事がなくて、ドアノブを回したら開いちゃったもんですから、中で待たせてもらおうかなーって。そしたら、この数式を見つけて。まずいなぁ、と思ったんですけど、私、数式を前にすると考えずにはいられなくて。そしたら、この部分をこうするとより美しくなるなーって…ごめんなさい!勝手に書き換えてしまって。これ、先生のお考えになられたものですよね?」
「これを、君が?」
「はい。ほんとにごめんなさい!」
「いや…実に美しい数式だ」
「え?」
「君、名前は?」
「あ、1年の千葉遥です。あの…」
「何だい?」
「この数式の最後に書かれたRTって、何ですか?」
「これはね、"Re Think" 再考の余地あり、という意味の記号だよ。うん、君の手が加わってぐっと良くなった」
「光栄です。この記号は先生が?」
「いや、私の恩師が使っていたものだよ…」
「あの…私も使わせてもらっていいですか?」
「あぁ、もちろん。ところで千葉くん、何か僕に用事かね?」
「あぁ、忘れるところだった!先日授業で先生が扱われていた問題ですが、こういうアプローチも可能なのではないかと思うのです…如何でしょう?」
ノートを差し出す。
「これも、君が?」
「はい」
「1人で?」
「えぇ」
ホワイトボードの数式を消して、遙の数式を書き写す堀井。
「美しい…。ただ、この部分は…」
数式を書き直す。
「どうだい?これでより一層良くなったとは思わないかい?」
「わぁ!なるほど、そういう解釈もあるのですねー」
ノートを受け取り自分の数式を書き直す。
「千葉くん、またいつでもここに来なさい」
「はい!ありがとうございます!」
こうして、恩師を失った堀井は、それと入れ替わるようにして愛弟子を得ることとなった。
遙はとても優秀な学生で、まだ入学して間もないにも関わらず上級生の集うゼミに参加し、その頭脳は他のどの学生よりも秀でていた。
ゼミ以外でも度々堀井の元を訪れては、物理の議論を交わしていた。
その姿はまさに、若かりし日の堀井と成田教授そのものだった。
「やはり私は、こちらの方がしっくりくると思うのですが…」
「いや、何度も言うようにそうすると…もぅ、わからないなぁ、君は…」
「わからないのは、先生の方でしょう。ですから…あ!そういう事か!なるほど…どうもすみませんでしたぁ」
「わかればよろしい」
遙は当然、学年トップの成績で何の迷いもなくそのまま院に進学し、修了後は講師となり堀井の助手として勤務していた。
そんなある日のことである。
「次回の授業準備はできているかい?」
「はい。レジュメも印刷済みです」
「うん」
「あの…先生?」
「え?」
「あ、あの…わ、私、先生の事が好きです!」
「千葉くん…」
「あっ、こんな、こんなとこで言う事じゃ、ないですよねー。す、すみません」
「すまないが、君の気持ちには応えられない」
「あ…」
「僕はね、物理と結婚したんだよ」
「な、なるほど…ごめんなさい忘れてください。そうか、そうですよね…」
「そんなことより、昨日のテストの解答でちょっとユニークなのがあったのだが、君はどう思う?」
テスト用紙を手渡す。
「え?あ、はい。えっと…確かに、なかなか面白いアプローチですねー」
「やはり、君もそう思うかね?」
「えぇ。次の授業で取り上げてみるのもいいかもしれませんね」
「それはいい考えだね!」
「早速、準備しておきます」
「あぁ」
堀井も遙に少なからず好意を寄せていたものの、彼女のことを考えてあのような態度を取ったのだった。
いや、それよりも何よりもただ純粋に物理と向き合う相手を失うのが怖かったのかもしれない。
遙の方も、直後は動揺していたが、興味深い解答を前にしてすっかりと元の様子に戻っていった。
~続く~
実は、サスペンスロマンス的なのを先に書いていたのですが、自分には大人な感じのものよりもこういううぶうぶなものの方が相性いいみたいです。
あぁ、最近お客様増えて来たのに、こういう間接的な投稿すると離れられそうでつらたん。
「出演予定」は常時更新しますし、「アーカイブス」も投稿予定です!
ちょっと、いつになるかわかんないけど…。
とりあえず「おばさん検事2」は今週中or来週のアタマには載せたい!
というか、早く言葉にしたい!
萌えポイント…もとい、“見どころ”満載でしたので!