ぼくようび~正名僕蔵さんファンブログ~

永遠の憧れ・正名僕蔵さまに不必要な愛を捧ぐ

オリジナル小説 「おじさん」 後編

 物語は意外な展開を見せます!


 オフィスに着くと、何やら皆騒がしかった。そして、私の姿を見つけるなり、同僚数人が私の元へと駆けて来た。

 「この度は本当に、申し訳ありませんでした」

 そう言って私が深く頭を下げると、先程激昂していた上司が奥から歩いて来た。
 怒鳴られる…そう覚悟したが意外にも上司は

 「お前、良かったな…」

 と言った。

 「は?」

 意外過ぎて全く間の抜けた声になってしまった。

 「ほら、テレビ見てみろ」

 すると、いつもは会議の時にしか使っていないテレビがついていた。
 何事かとテレビに近づくと、飛行機事故の速報が流れていた。

 「これ、お前が乗るはずだった便だろ?」

 確かにその通りだった。この時はまだ被害の状況が定かではなかったのだが、後日、乗員乗客全員が亡くなる大惨事であったことが判明した。
もしもあの時、おじさんの姿を見つけておらずそのまま搭乗していたとしたら…。そう思うと全身の毛が逆立ちする感覚を覚えた。

 そして私は、堪らず外へ飛び出した。

 「おい、御手洗!」
 
 どこへ向かったらよいものか、全くわからなかったが、とりあえず最初におじさんを見つけた場所へと駆けて行った。

 すると、そこにはおじさんが立っていた。
 私が向かうと、今度はじっと待ってくれていた。
 
 「おじさん…ありがとう。助けてくれて。それなのに、私、おじさんのこと…ごめんなさい」

 そう言った私をおじさんはゆっくりと抱き締めた。おじさんの胸は亡くなっている人のものとはとても思えないほどに温かかった。
しばらくして、おじさんは私の体を離すと

 「綾ちゃん、大きくなったねぇ」

 と言って、いつものように優しく微笑んだ。

 「春子さんにそっくりだ…」
 「本当にありがとう」
 「礼を言うのは、こっちの方だよ」
 「え?」
 「あそこに僕の居場所を作ってくれて、どうもありがとう。毎年、とっても楽しかったよ」
 「私も」
 「それから、やっちゃんに、君のおばあさんに、『気に病むことは無い』と伝えておいておくれ。幼いやっちゃんを連れていたのに目を離してしまった僕に全て責任があるのだから…」
 「わかった」
 「じゃぁ、もう行かないと…」
 「待って!」
 「うん?」
 「もう、会えないの…かな?」
 「そうだ、これ…はい」

 そう言うとおじさんはたすき掛けの大きめのカバンから絵を取り出した。そこには、大人になった私の肖像画が描かれていた。今度はデッサンではなく油絵だった。

 「ありがとう」

 おじさんは深く頷くと真冬の凛とした空気の中に溶け込んで行った。

 その週末、私は再び岡山を訪れた。祖母・靖子におじさんの言葉を伝えるためである。
 伝え終わると、祖母はおいおい泣いた。七十年近く、ずっと罪悪感を抱えながら生きて来たのであろう。

 私は祖母を残し一人で、おじさんが眠るお墓へと向かった。
 墓前に手を合わせながら、私は色々なことを考えていた。

 何故幼い頃より私にだけおじさんが見えていたのだろうか?もしかしたら、私たちは同じ“事故死の相”によって引き寄せられていたのかもしれない。あるいは、私にそれを感じておじさんが私の前にだけ現れて、どうにかしてそのことを伝えようとしてくれていたのかもしれない。

 『居場所を作ってくれてありがとう』という言葉にも幾分ひっかかりを覚えていた。成仏しきれない自分を見つけてくれて、相手になってくれてありがとう、という意味なのだろうか?それとも、いくら友人だったとはいえ、養子という身分に息詰まりを感じていて、そんな事情を全く知らない私と関わる時だけはそのようなしがらみから解放されていた、ということなのだろうか?
 
 それ以来、私は毎年正月に本家へ帰省している。

 残念ながらその後おじさんには会えていない。だが、おじさんは今もどこかで私を、御手洗の家をやさしく微笑みながら見守ってくれている、私にはそう思えてならないのだ。

~終わり~

いかがでしたでしょうか?

ただただ親戚のおじさんが出てくる話じゃつまらないので、不思議な話にしてみました(笑)

親戚のおじさんと恋愛する話書いたって、ねぇ…嫌でしょ?

そういうのはちょっと、好きくないので…。

一度話題に出したかもですが、少し前から大人なラブサスペンスを執筆してたりするのですが、なかなか進まないんですよねー。

やっぱり私にはそういうの向いてないのかなぁ…。

それもあるし、失踪者の居所を見つける手がかりをどうするか、がなかなか難しくて…。

ある日、田舎の駅に一人の女性が降り立って。で、そこの駅員と恋仲になって。
で、それからも度々やって来て逢瀬を重ねるんだけど、ある時を境にぱったりと姿を見せなくなって。

で、駅員は矢も盾もたまらず彼女を探しに唯一の手掛かりとなる、彼女が置き忘れた手帳を携えて一人、東京へと向かう…って話なんですけどど。

二人が関係を持つシーンとか、そういうのニガテなのに頑張って書いたからなんとか最後まで書き上げたいんですけれどもねー。

時間も知恵もなくて…。

あぁ、やっぱりサスペンスは色々難しいわわわ(><)

あ、因みにこのお話は「孤独のグルメ」での駅員僕蔵があまりにも素敵で、そこから着想を得ました。

あの駅員さんからこんな話思い浮かべるなんて、だいぶオカシイですよね(苦笑)