待望(?)の二次創作、第2弾ですー(パフパフ♪)
今回は「相棒」!ぎーやなさんにとっては、好きの2乗!
僕蔵さんは実際には亀山時代と冠城時代の2回出演されています。
なので、それ以外の相棒がいいかなーと、今回は神戸君。
今回の僕蔵さんの役どころは神戸が助ける謎の男です。
ではではー!
警視庁特命係の神戸尊警部補は帰宅の途についていた。すると、階段の下でうずくまる人影を見つける…。
神戸「どうかされましたか?」
男 「階段の上から脚を滑らせてしまって…」
神戸「歩けそうですか?」
男 「いいえ。おそらく、脚を折ってしまったようです」
神戸「わかりました。今すぐ救急車を呼びますね」
男 「ご親切に、どうも…」
東京警察病院にて
神戸「あぁ、杉下さん。こんな時間にお呼び立てして、申し訳ありません」
杉下「いえいえ。君、けが人を搬送したとか?」
神戸「えぇ。男の名前は榊原優治、45歳。」
杉下「階段から転げ落ちたと聞きましたが」
神戸「えぇ。でも少しひっかかるところがあるんですよねー」
杉下「と、いうと?」
回想。救急車にて
隊員「ここから一番近い病院だと…帝都総合病院だな」
榊原「そ、そこはやめてください!」
隊員「どうして?」
榊原「とにかく!そこ以外にしてください…」
隊員「はぁ…」
杉下「なるほど。最初の搬送先を拒否した…。気になりますねぇ」
榊原の病室
神戸「こちら、僕の上司の杉下さん」
杉下「警視庁特命係の杉下です」
榊原「警視庁?ということは、神戸さんも」
神戸「警察官です」
榊原「驚きましたー。神戸さんといい、杉下さんといい、こんなスタイリッシュな刑事さんもいらっしゃるんですねぇ」
杉下「ところで、神戸君から聞いたんですけれどもね、あなた最初の搬送先として名前が上がった『帝都総合病院』を拒否なさったとか…どうしてでしょう?」
榊原「あそこは、1年前に僕が運転していたタクシーが事故った時に入院したことがあって。そのときの対応がいまひとつ、だったもんで…」
杉下「そうですか…どうもありがとう」
病室を立ち去る。
神戸「さっきの回答に納得いきましたか?」
杉下「いえ…。一年前の事故についても気になりますし。明日、行ってみますか」
神戸「またまた細かいことが気になったみたいですね?」
杉下「えぇ。僕の悪い癖っ」
翌日。帝都総合病院。
看護師「榊原さん?えぇよく覚えていますよ」
杉下「タクシーの物損事故、だったとか…」
看護師「えぇ。応対できる病院がなかなかなくって、たらい回しにされて、やっとウチへ。鞭打ちと打撲で一週間ほど入院されてました」
杉下「たらい回し、ですか…」
神戸「そのときの病院の対応に不満があったみたいなんですけど…」
看護師「え!そんな、ありえませんよ。ものすごく感謝してくださってねー。後日、わざわざ付け届けを持ってきてくださったくらいなんですから」
杉下「付け届け、ですか」
看護師「えぇ。それも翔宝堂の羊羹」
神戸「翔宝堂って、高級和菓子の?」
看護師「はい。でも、うちの病院、そういうの一切禁止してるので、もったいなかったですけど、お返ししました。もしかして、そのことが気に食わなかったのかしらねぇ?」
杉下「他に、榊原さんのことで気になることはありませんでしたか?」
看護師「そういえば…入院期間をもう少し延ばして欲しい、っておっしゃってましたけど」
杉下「とおっしゃると?」
看護師「検査した結果、ほとんど治ってたんですけどね、本人は痛みを感じていたようで。まぁ、痛みっていうのはストレスや不安で錯覚したり増大したりするものなので、無い話ではないんですが。大抵の患者さんはこちらの示した退院日を承諾してくださるので…」
杉下「腰痛なども、物理的には完治していても、日常生活のストレスや『また悪くなるのでは』という不安から、脳の痛みを感じる部分が過敏になり、支障をきたさない程度の痛みでも激痛に感じてしまう場合がある、と聞いたことがあります」
看護師「えぇ、その通りです。よくご存知ですね?」
神戸「この人、何でもよく知ってるの」
神戸「どうします?榊原本人にもう一度聞いてみます?」
杉下「いえ、それはもう少し調べてからの方がいいでしょう」
ヨツバ交通。
神戸「榊原さんが起こした一年前の事故についてお伺いしたいのですが…」
事務員「あぁ、あれ。何か考え事してたみたいで、アクセルとブレーキ踏み間違えたんだと。全く、じじいじゃねぇんだから。ま、お客さんを乗せてなかったのと、人身事故じゃなかったのがせめてもの救いですよ…」
杉下「事故後は?」
事務員「すぐに辞めましたよ」
神戸「次の職場とか、わかりますか?」
事務員「さぁねぇ…」
運転手「あ、それなら、俺送ってったことあるよ。初出勤の日にわざわざ俺指名してくれてさぁ」
杉下「それはどちら?」
運転手「台東区の不動産屋だよ。営業だって。それにしても、榊原さん、運がねぇよなぁ」
杉下「と、いうと?」
運転手「あの人、高卒ですぐ『エッヂ』に就職してたんだと」
神戸「『エッヂ』って、大手家電メーカーの?」
運転手「あぁ。その『世界のエッヂ』だよ。でも、中国や韓国の会社が急成長したあおりを受けて、経営が大きく傾いたろ?」
神戸「そういえば、CEOが外国人に代わって、大規模なリストラを行ってましたね」
運転手「そう。それで榊原さん、真っ先に首斬られたみたいでさ…。そのせいで女房と子どもにも逃げられて…。良い人だったのになぁ」
杉下「どうもありがとう」
YOU遊エステート。
社長「え?榊原さんまたケガしちゃったの?」
杉下「また、とは?」
社長「いやー。うちに来て3か月経った頃、営業先に自転車で向かう途中でスリップしちゃってさぁ。本人の話だと、ブレーキが切られてたみたいで」
神戸「切られてたって、故意に、ですか?」
社長「あぁ。被害届出した方がいいんじゃないか?って言ったんですけどね?どうせ子どもか何かのいたずらだろうからって。で、しばらくして、辞めちゃいましたよ」
神戸「え?またなんで?」
社長「会社休んで迷惑かけたから、とかなんとか…。そんなもん、仕事で返してくれりゃあよかったのに…。榊原さん、営業センス抜群だったから、うちとしちゃぁ残ってほしかったんですけどねぇ。引きとめても全く聞く耳をもってくれませんでしたよ…」
杉下「なるほど…。ありがとうございます」
神戸「この一年の間に、自動車事故、自転車事故、転落事故、3回も事故に遭ってるなんて、ちょっと不自然ですよね?」
杉下「事故に遭う度に職場を転々としている点も、気になりますねぇ。しかも、自転車事故に関しては、誰かが事故を誘発した可能性がある。にも関わらず、警察に訴えることはしなかった…。非常に違和感を覚えます」
神戸「心当たりがあって、かばっているのか…」
杉下「あるいは、彼自身、何か秘密を抱えているのか…。いずれにせよ、明日病院へ行って直接尋ねてみましょう」
翌日。榊原の病室。
杉下「これらの点が、非常に気になっていましてね?特に、自転車のブレーキに細工が施された疑いがあるそうじゃありませんか。なのにあなたは訴えることをしなかった…。何故でしょう」
榊原「それは…子どものイタズラか何かだと思ったからです」
杉下「でも、何も勤め先を辞める必要は無かったのではありませんか?タクシーの場合は致し方ありませんが、事故と不動産の営業には何の関わりもありませんからねぇ」
榊原「あの会社とは水が合わなかったんです。それで、いい機会だと思って…」
神戸「じゃぁ、今勤めてる警備会社とも、水が合わないんですか?」
榊原「は?」
神戸「辞職する旨連絡があったと、事務員さんが教えてくれましたよ」
杉下「それに、勤め先の位置がバラバラです。まるで…何かから逃れているかのように…。榊原さん、本当のこと、教えてはくれませんか?」
榊原「すみません。脚を滑らせてなんかいないんです。本当は…誰かに突き飛ばされたんです」
神戸「え?何でもっと早くそれをいわなかったんですか?」
榊原「それは…」
~続く~