オリジナル創作「妄想主婦☆うきえちゃん~この物語は3割実話です~」第2話

初めていらっしゃった方で今後も遊びに来てやろうかと思って下さる大変奇特な方は是非「ぼくようびのトリセツ」(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36144883.html)も合わせてお読みください。
随時コメント大歓迎!忌憚のない感想をお寄せいただければ幸いです♪
twitter(@bkz_bot)もヨロシクです♪
僕蔵さんのファンになったばかりで、どの作品からみたらいいかわからない、という方は当ブログの「正名僕蔵さんの出演作品一覧(https://blogs.yahoo.co.jp/uzukinokimi/36414279.html)」を参考になさっていただけると幸いです。
大規模災害や重大事件が発生した際にも、基本的に更新を中止することはございません。“非常時こそいつも通りに”“むしろ、より明るく、楽しく、面白く”がモットーです。

多忙につきこんなもん書いてる場合じゃないのですが、つい、手が勝手に…(笑)

※物語に登場する僕蔵さんの人物・来歴はご本人とは一切関係ありませんので、あしからずm(_ _)m



つかさナレーション「私の名前は浮橋つかさ。14歳、中学2年生です。母・うきえ(38)はルックスも性格も申し分ない父・誠(48)とラブラブな生活を送る一方、正名僕蔵の大ファンでもあるという変わり者。これは日常生活で起こる様々な問題を自身の類稀なる妄想力で華麗に解決する一人の主婦とその家族の物語…」
 
第2話 『風邪とパンケーキと男と女』
 
つかさ「ただいまー。お、お母さん!」

リビングで倒れるうきえ。

つかさナレ「いつも元気な母が倒れた。事の発端は一カ月前にさかのぼる」
 
一か月前
夕食後

つかさ「お母さん、今度の日曜ここのパンケーキ屋さん行こうよ!」
 
スマホのネット記事を見せる。
 
うきえ「えー。お母さんこないだからダイエット始めたのよねぇ…」
つかさ「は?」
うきえ「だって…半年後に僕蔵さまの舞台見に行くんだもの~。服ももう決めてあるんだぁ。セールで買った花柄のワンピース。おニューよ♪」
つかさ「おニューって…。逆に新鮮だわ」
うきえ「だからパンケーキはちょっと…」
つかさ「あのねぇ、芝居中にイチイチ観客一人ずつ見てるわきゃないでしょ?いっぱい並んだかぼちゃの中の一つに過ぎないんだからそんな神経質にならなくったって…」
うきえ「かぼちゃなんてヤダ!せめて…ニンジンがいいもん!」
つかさ「そういう問題じゃないでしょうが…」
うきえ「それにー、僕蔵さまとはいつも目が合うのよ♪」
つかさ「出たー、ファンあるある。『目が合った』、『こっち向いてた』…はいはい。そりゃねぇ、約2時間の公演中にちょっと目が合うのなんて、確率的に十分あり得ますわよ。あるいは、お母さんオーラ出ちゃってんじゃない?」
うきえ「やだ、もう~」
つかさ「相当ヤバいオーラだけどね。自覚してないだろうけど横で見ててもすんごい顔になってるもん。危険分子と見なされてるんだよ、きっと」
うきえ「もう、つかさちゃんったら、クールなんだから」
誠  「あー、いいお湯だった。何の話?」
うきえ「え?あー、それは…」
つかさ「お母さんってば、パンケーキ屋さん行こうって誘ってあげたのにダイエット中だから嫌だとかなんとか…」
誠  「うきえちゃんがダイエット?そんな必要ないじゃない!」
うきえ「だって、最近丸っこくなって来てるし…」
誠  「うきえちゃんは、ちょっと丸っこいくらいがかわいくって魅力的だよ」
うきえ「え?そうかしらぁ」
つかさ「お風呂入って来るから、どうぞごゆっくり!」

風呂場へ向かうつかさ。

二人 「ごゆっくり~」

つかさ「お父さんあんなにかっこいいのに何だって僕蔵なんか…」
 
その3日後。
パンケーキ屋の前にて。
 
つかさ「うわっ、すっごい列…」
うきえ「並んで待っていようか」
つかさ「うん、そうだね」
うきえ「誠さんも来られたらよかったのにねぇ」
つかさ「仕方ないよ、仕事だもん」
うきえ「そうね。その代りにたまき姉さんとほのかちゃんも呼べたしねー」
たまき「代わりで悪かったわねぇ」
つかさ「おばさん!」
ほのか「こんにちは~」
 
つかさナレ「この二人は石橋たまきさんとほのかちゃん親子。たまきおばさんは母の双子の姉妹。ほのかちゃんはたまきさんの娘なので私のいとこに当たる。私たちも同い年で近所に住んでおり同じ学校に通っている。なのでいとこというより幼馴染といったところ」
 
つかさ「ほのかちゃん、遅かったね」
ほのか「面目ない…これを探してたのです。はい、おばさま」
うきえ「これ、先月号の番組情報誌?」
ほのか「ここに、小さくだけど僕蔵さまのインタビュー記事がありましたので」
うきえ「あ、ほんとだぁ。ありがとう!」
ほのか「たまきさんが間違って雑紙の方に入れていたので慌てて回収して持参した次第です」
たまき「そりゃ誰だってゴミだと思うでしょうが、先月号なんだからっ!」
ほのか「ちゃんと捨てられないようにデスクの方によけてあったですのに!」
たまき「あのガラクタだらけのデスクに?」
ほのか「ガラクタとはなんですか!あれは、わたくしの宝ものたちですの!」
たまき「宝ものだってんなら、もっとちゃんと整理しておきなさい!」

二人の口論に気づかず夢中で記事を読むうきえ。

つかさ「ちょっと、二人とも!お母さんも、帰って来なさ~い!」
たまき「あぁ、やっぱり素敵だわぁ」
 
店内にて。
 
店員「ご注文はお決まりでしょうか?」
つかさ「ベリーベリースペシャル」
ほのか「わたくしも!」
たまき「私はヨーグルトパンケーキを。うきえは?」

未だ記事を読み耽るうきえ。

つかさ「お母さん!」

雑誌を取りあげる。

うきえ「ちょっ、何するのよぉ」
たまき「注文!」
うきえ「あ、アイスティーをストレートで…」
たまき「パンケーキは?」
うきえ「い、いらない…」
たまき「はぁ…。じゃぁベリーベリースペシャル2つとヨーグルトパンケーキ1つ。それからアイスティーストレートとホットコーヒー。後…飲み物は?」
ほのか「ジンジャエール
つかさ「じゃぁ私も」
たまき「で、お願いします」
店員 「かしこまりました。ごゆっくりどうぞ」
 
つかさナレ「この二人、顔はそっくりなのに性格はまるで逆。どこか夢見心地でほわほわしている母とは打って変わって、たまきおばさんはシャキシャキしててかっこよくって母よりもうんと美人」
 
たまき「うきえったらまだ「僕蔵さまぁ」って言ってるの?」
うきえ「いいじゃない。私の唯一の楽しみなんだから」
たまき「私たちとの時間は楽しくないってこと?」
うきえ「もう、すぐ上げ足取る!」
ほのか「気にすることないですわ、おばさま。僕蔵さまは素敵です」
うきえ「そうよねー。ほのかちゃんだけよ、そう言ってくれるのは!」
 
つかさナレ「実はほのかちゃんも僕蔵ファンだったりする。というか、ありとあらゆるものに興味があって、博識で。ちょっぴり独特な空気感を漂わせているがむしろそれを強みに変えて、キャラとして固定させているせいか学校でも人気者なのだ。あぁ、羨ましい…」
 
たまき「全く、あんたのせいなんだからね。この子まで「僕蔵、僕蔵」言いだして!」
うきえ&ほのか「呼び捨てにしないで!」
つかさ「どっかで赤ちゃん取り違えちゃったんじゃない?」
たまき「ははっ。そうすると、君は誠さんの子ではなくなるけど?」
つかさ「あー、それはヤだ!」
ほのか「わたくしのパパでは不服だと?」
つかさ「いや…そういう意味じゃなくって…」
たまき「お互いに名づけ親になったのがそもそもの間違いね」
うきえ「そうかもねー。何たってほのかちゃんの第一声は『ぼくぞー』だったから」
たまき「それは、この子が『おふろ』って言ったのをあんたが聞き違えて一人で大騒ぎしてただけでしょうがっ!」
うきえ「違うわよ!だって、僕蔵さまの写真指差しながら言ったんだもん!間違いなく『ぼくぞー』言ってたんだもん!」
ほのか「あはっ!光栄ですわ~」
つかさ「そんなん言ってないで、止めなよ!」
ほのか「大丈夫、すぐ元に戻りますわよ。何たって、双子ですもの」

少し気を逸らした隙に大笑いしながら話し込む二人。

つかさ「ほんとだ、ほのかちゃんの言う通り」
 
つかさナレ「急に思慮深くなるところまでほのかちゃんは私の母にそっくりなのだ。恐らく、それぞれが母親ではなくおばに憧れを抱いた結果なのだろう。隣の芝生は青い、である」
 
つかさ「ところでほのかちゃん、僕蔵のどこがいいの?」
ほのか「ですっておばさま」
うきえ「それを話しだすと軽く3時間はかかるけど、よろしくて?」
たまき「よろしくないっ!」
ほのか「ねぇおばさま、今度の舞台はご覧になられるのですか?」
うきえ「もちろん!ほのかちゃんは?」
ほのか「わたくしもですっ!」
つかさ「ほのかちゃん、そんなに好きなんだったら2回行けば?ってか私の代わりに行ってよ~」
ほのか「いいえ。つかさちゃんも是非見てくださいませ!布教活動もファンとしての大事な努めなのです!」
つかさ「いよいよ宗教じゃん…」
うきえ「偉いなぁー。私だったら即チケもらうけど♪」
たまき「だったら私の代わりに…」
ほのか「いいえ、たまきさんも見るのです!」
たまき「やっぱりどっかで入れ違ったんだわ、子どもっ!」
 
パンケーキ登場!
 
つかさ&ほのか「うわぁ~、おいしそぉ」
たまき「ほんとにいいの?あんたこういうの好きでしょうに」
うきえ「ううん、僕蔵さまに会うんだもの!ガマン、ガマン…」

パンケーキを凝視しながらストレートティを吸う。

たまき「全く、呆れた…。ほれ、1ピースくらいじゃ太んないから!」

フォークに刺して差し出す。

うきえ「1ピース、ワンピース…だめよ、やっぱり…」
たまき「食べなさいっ!」

無理矢理口にねじ込む。

うきえ「んぐっ…お、おいひ~」
たまき「もっと欲しかったら、食べていいから」
うきえ「ありがとう、お姉ちゃん。でも、もう十分味わかったからいいよ」
たまき「そう?ダイエットはいいけど、あまり無理し過ぎないで。あんた昔っからやりだしたら突き詰める方だから、もう心配で…」
ほのか「美しい姉妹愛ですわ」
つかさ「なんだかんだで仲いいもんね、この二人」
 
つかさナレ「この後も順調に食事制限を続けていた母。そしてその結果…」

倒れる当日
 
つかさ「おはよう。ちょっと、お母さん大丈夫?顔色悪いけど…」
うきえ「へ?だい、じょうぶよ、きっと…」
つかさ「ちょ、全然大丈夫じゃないじゃん!今日はゆっくり休んどきなさいよ!」
うきえ「あ、ありがとう…」
 
現在
ベッドに横たわるうきえ
 
つかさ「全く、ダイエットのし過ぎで風邪引いちゃうっていい大人のすることじゃないでしょうが―」
うきえ「め、面目ない…ゴホッ」
つかさ「その上、帰ったら家のこと全部済ませてあるんだもん。びっくりだよ」
うきえ「つかさちゃんはああ言ってくれたけど、家事はお母さんの仕事だから。それに…」
つかさ「それに?」
うきえ「午前中に僕蔵さまご出演のドラマの再放送があってね?それがもぉ、とぉってもかっこよくって…。見てたら何だか元気が溢れて来ちゃって。すっごくやる気になっちゃって?それでぜーんぶ家事こなせちゃったのぉ」
つかさ「もぉ~、勝手になさいっ!」
うきえ「ごめんなさい」
つかさ「でも…」
うきえ「ん?」
つかさ「倒れちゃったら僕蔵見たり、描いたりできなくなっちゃうんじゃない?」
うきえ「え?あぁ、それもそうね!」
つかさ「どうせ何も食べてないんでしょ?おかゆ作ってくる」
うきえ「ありがとう。あのね、つかさちゃん」
つかさ「何?」
うきえ「僕蔵さん、だからね?」
つかさ「な…折角いい雰囲気だったのにっ!」
うきえ「つかさちゃんが、ゴホッ、呼び捨てにするのがいけな…ゴホゴホッ」
つかさ「あぁ、もういいからいいから。わかったわかった。僕蔵様、僕蔵王子、僕蔵大明神~!これでいい?」
うきえ「上出来…クシュンっ!」
 
一週間後
 
つかさ「ただいま~」
うきえ「おかえりなさ~い。久しぶりにアップルパイ焼いたの!食べる?」
つかさ「食べるけど大丈夫なの、風邪?」
うきえ「うん、もうす~っかりよくなっちゃって、こんなの描いてたところ♪」
つかさ「何これ…」
うきえ「Dr.ぼくぞー!かっくいいっしょぉ~」
つかさ「つーか、デカいし…」
うきえ「そうそう。なんかぶっ倒れてて禁欲生活だったでしょ?だからぶり返しってかその反動で?いつもよりお~っきく描いてみたくなっちゃって。しかも、油絵☆こんなお医者様がいたら、病院に行くのが楽しくなるよね~。というかこんな先生に診てもらえるんなら、うきえ一生風邪引きさんでもいいかも~♪」
 
つかさナレ「風邪はすっかり治ったようですがこちらの病気はむしろ、さらに悪化してしまった模様…」
 
つかさ「お母さんは?パイ食べるの?」
うきえ「い、いらない…」
つかさ「はぁ?」
うきえ「冗談よ。食べますとも!だってうきえってば、ちょっとふっくらしてる方がかわいいんだから!かぼちゃ上等~♪」
つかさ「やっぱりチケットほのかちゃんに譲ろうかな?こんな人の横にいるの絶対嫌…」

~続く…かもしれない~